産業廃棄物管理票(マニフェスト)とは
産業廃棄物管理票(マニフェスト)とは、産業廃棄物の処理を委託する際に必要な伝票のことです。排出事業者が、収集運搬業者や処分業者に処理を委託した際の処理の流れを把握できるようにすることで、不法投棄の防止等適切な処理を確保することを目的とした制度です。
排出事業者は、紙または電子マニフェストを使用して、廃棄物の種類、数量、収集運搬業者名、処分業者名等を記入し、処理を委託した事業者へ産業廃棄物と一緒に流通させることで、委託した産業廃棄物が最終処分まで適正に処理されたかどうか分かる仕組みになっています。排出事業者は、このマニフェストを使用して産業廃棄物が適切に処理されているかを確認する義務があります。
収集運搬業者及び処分業者は、運搬や処分が終了するとマニフェストによって、排出事業者に処理終了の報告をします。排出事業者は、収集運搬業者や処分業者から所定の期間内に処理終了の報告がない場合は、処理状況を把握し、適切な措置を講ずるとともに、その旨を都道府県等に報告しなければなりません。
委託契約とマニフェスト
排出事業者は、産業廃棄物の処理を収集運搬業者等の処理業者に委託する場合、書面で契約を結ぶ必要があります。委託契約は、産業廃棄物の処理を委託する収集運搬業者、処分業者それぞれと取り交わす必要があります。収集運搬業者と収集運搬のみの委託契約では不十分です。必ず処分業者とも契約を取り交わさなければなりません。
排出事業者が処理業者と取り交わす委託契約とマニフェストはそれぞれ趣旨が異なる制度です。マニフェストは、委託契約のとおりに産業廃棄物が適切に処理されたことを確認するためのものです。
マニフェストの流れ
紙マニフェストの場合の流れの例は以下の通りです。
マニフェストに、産業廃棄物の種類、数量等の必要事項を記入し、産業廃棄物の引き渡しと共にマニフェストを収集運搬業者へ交付する。
産業廃棄物とマニフェストを受け取り、必要事項を記入して控えを排出事業へ渡す。
マニフェストに指定された処分業者のもとに産業廃棄物を運搬する。運搬終了後、収集運搬業者はマニフェストを処分業者へ渡す。
産業廃棄物とマニフェストを受け取り、必要事項を記入して控えを収集運搬業者へ渡す。
処分業者から受け取ったマニフェストの控えのうち1枚を排出事業者に渡す(収集運搬の終了報告)。
マニフェストにしてされた方法で処分した後、排出事業者及び収集運搬業者へマニフェストの控えを渡す(中間処理の終了報告)
産業廃棄物が最終処分されたのちに、排出事業者にマニフェストの控えを渡して完了。
マニフェストを交付しない場合等の罰則
マニフェストを交付しなかった、虚偽の記載を行う、報告義務違反や保存義務違反など、マニフェストに関する義務に違反した排出事業者および処理業者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。
さらに、不法投棄などの不適正処理が行われた場合、都道府県から措置命令を受けることがあります。措置命令に従わない場合、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金またはこの併科に処せられます。
まとめ
- マニフェストは産業廃棄物の処理の流れを把握する管理票
- マニフェストは関係業者全員で作成する
- マニフェストを交付しないと罰則等がある